ゆめてまりの今後

2015.07.30

ウエダオーチャードのギフトシーズンのメロン”ゆめてまり”です。

8棟中4棟がゆめてまりで、この写真は3棟目の最終ロット、残り1棟を今日から収穫しています。
実はこの品種”ゆめてまり”が危機にあります。素晴らしいメロンなのですが私以外に数えるほどの農家しか生産していなく、種苗会社が育種を中止する方向だとのこと。種苗会社も営利企業ですのでいたしかたないことですが、それはかなり困る、、。

北海道立花野菜技術センターで開発され、札幌の種苗会社大学農園で育種している道産品種です。
同じ産地でも作り手によって品質の違いが出やすいらしく流通向きではないそうです。だからこそ個人で販売ルートを持っている農家には適していると思うのです。比較的新しい品種なのでこのメロンの情報をよく知らないメロン農家が多いのでは？とも思っています。ぜひこのメロンを作る農家が少しでも増えて欲しい！僭越ですがこのメロンを私が一番理解しているという自負がありますので、専門的な話しになりますが紹介します。

まずとても割れやすいメロンというレッテルが張られてしまいましたが、それは過肥大させてしまうのが最大の原因です。7月後半になると北海道のメロンは俄然肥大化しますので、7月中頃までに穫り終えればほとんど割れません。私は6月下旬から7月中旬まで毎日の収穫予定で80mハウス4棟を順に無加温で作付けしています。つまりこの時期にちゃんと穫れば御中元時期のメロンとしてかなり優位です。（栽培の様子はこのHPにたくさん載せてます）

１棟目は2月末播種、4月初め定植で低温期の伸張性は緩やかですが、着果率は低温でも良い方だと思います。着果後は50日内外で収穫となる早生系です、この夏は53〜55日で穫ってます。ネットの入り方が縦横同時なので低温期のヒルネットや水分多過による水割れがほぼ出ません。上の写真見て解ると思いますが、キングルビーや他のギフト系メロンと比較しても、ネットの盛上りや緻密さでかなり優位な外観になります。というかこんなにネットが上がる品種は他に知りません。
アンテナ部分の軸が短いので、上手く皿敷きするとアールス系温室メロンに近い外観（首まわり）にすることも出来ます。首まわりは強くリングは出ません。太くネットが盛り上がるため外皮が厚めになるので、肌はやや堅そうな濃い色になりますが、果肉はちゃんと柔らかく食味もキングルビーと遜色ないと思ってます。

名前のとおり素直に育てばまんまるな手鞠風になります。肥大させると横に伸びるので種袋がゆがんで南瓜風になったりもします。4玉サイズまでが最適な形で収まりやすいです。糖度もキングルビーに比べても上がりやすく16〜17度が標準になります。樹勢がとても良く素直に伸び、葉立ちが低めなので倒れにも強いです。また雌花のとびが殆ど無くどの節にもいい花芽が付きます。収穫期までしっかりと伸び病気にも強いと思います。私は作付け5年目ですが、まだ生理障害以外は病気の株に会っていません、もちろん自根です。因みにこのメロンも農薬を使わないで穫れてます。
詳しい栽培履歴表はこちらにあります。

ウエダオーチャードはほぼ個人のお客様へダイレクトに販売しますので、反応もダイレクトに帰ってくることが多いです。またイベントも多く開催してまして、お客様の満足感を直に拝見する機会が多く、このメロンの優位性を感じることが出来てます。是非、北海道のメロン農家さんで作ってみたいと思われる方が現れて増えて欲しいと切に願います。そうすれば育種も続けてもらえるだろうと思っているのです。

この”ゆめてまり”無くなるのは本気で惜しいです。同じ時期に生まれたお米の”ゆめぴりか”、小麦の”ゆめちから”と同様に北海道を代表するメロンになる日を”ゆめ”みております！